このまま。
秋も深まり、木々が色づいてきた。
ふと庭を見ると、色とりどりの落ち葉が庭中を埋め尽くしていた。
今日はまだ任務を命じられていないので、俺は物置から箒と塵取りを出した。
「うーん・・・・・芋でも焼くかな・・・」
ザッザッと箒が落ち葉をかき集める音を聞きながらふとそんなことを思った。
小さな庭を掃除するのに、そんなに時間は掛からず、あと少しではき終わると思ったその時、不意にビュウッと強い風が吹き、かき集めた枯葉を舞い上がらせる。
「あー・・・・・最悪だ。俺の苦労を返せー!!」
風相手にそんなことを言ったってどうしようもないのに、俺は空に向かって叫んだ。
「・・・・・・何叫んでるんだ?」
背後から声をかけられ、バッと振り返ると、縁側に佐助が立っていた。
「あの風はお前のせいなのか!?」
「は?」
佐助が怪訝そうに眉を寄せた。
「あー、はいはい。なるほどね。」
佐助は箒を持った俺と庭を見渡し、納得したように頷いた。
「俺じゃないって。俺はの言い付けどおり、玄関から入ってきたからね。それはただの自然現象。」
佐助は散らばった枯葉を指差して言った。
「わかってる。言ってみただけだ。」
俺は再び箒を動かして枯葉を集めた。
「で、佐助、お前は朝っぱらから何をしに来たんだ?」
「それは決まってるでしょ。との愛を育むため。」
飄々と言ってのける佐助に少し腹が立って、思わず殴りそうになるが、今は掃除の方が大事だと踏みとどまった。
「・・・・・・任務は。」
とりあえず佐助の発言を聞き流すことにした。
「今のところないよ。俺もも。真田の旦那はお館様のところに行ったみたいだけど。」
「そうか。」
ようやく枯葉をはき終わり、手を止めた。
「芋焼くけど、お前も食うか?」
訊きながら振り返ると、佐助は何故かすごく幸せそうに微笑んでいた。
「どうした?」
「平和だなぁと思ってさ。俺がいて、がいて・・・」
「何だよ急に。今すぐ死ぬみたいじゃねぇか。」
確かにここ最近は戦が頻発している。
忍である佐助と、兵士である俺は、いつ死んでもおかしくない。
「、そっち行っても良い?」
「はぁ?・・・・・・・・好きにすれば。」
何だかいつもと様子が違うような気がする。
ふざけたことばかり言う奴ではあるけれど、ここまで奇怪な言動をする奴ではないはずだ。
半ば投げ遣りに答えると、少しの間の後、佐助が近寄ってきた。
「好きだよ、。」
佐助はそう囁きながら俺を抱きしめた。
「こうしていられるのも、あとどれくらいなんだろうなぁ・・・・」
かろうじて聞き取れた言葉。
頭を鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。
「・・・・・・ずっとだ。ずっと、こうしていれば良いだろ。縁起でもねぇこと言ってんじゃねぇよ。」
戦に出るときは別々になっていても、戦が終わればまた帰ってこれる。
次があるのだと、いつも信じて戦に向かう。
君主のためならば、決して惜しまない命でも、愛する人と共に生きるために守り抜こうと誓う。
一緒にいる時間が少ないだなんて思わない。
いつまでも、ずっとこのまま、変わらないでいられるように、互いを信じるだけ・・・。
―――最期まで、共に生きようと誓う。
*終わり*
+あとがき+
佐助の口調がよくわからない。