まっすぐな瞳



俺が十番隊隊長になって間もない頃、新しく十番隊に配属となった数多の隊員の中にアイツはいた。
浮き足立つ面々の中、ひとり落ち着いた空気を纏っており、体格は俺より少し大きいくらいで、他の新入隊員に比べたら遥かに小さい。肩にかかるほどの長さの髪は金茶色で、色白の肌に空色の大きな瞳、薄桃色の唇は見目麗しい。女と見紛う程の可愛らしい容姿に反して、醸し出す霊気はとても強く、存在感は人一倍あった。


「・・・・俺が隊長の日番谷だ。慣れるまで大変だと思うが、わからないことや困ったことはまず周りにいる奴らに聞け。それでも解決に繋がらなかったら、俺か副隊長の松本のところに来い。それから・・・」


手元の書類を確認しながら、必要最低限のことを伝え、解散を告げた。
各々が去っていく中、俺はアイツから目が離せなかった。
姿が見えなくなったところで、自分の席に戻った。
机の上にある新入隊員の個人記録をパラパラとめくっていき、目当ての人物のものを見つけ、手を止めた。


「・・・・、か。」


写真で顔を確認し、名前を見た。


「誰か気になるんですか?隊長。」


松本が淹れたてのお茶を俺の机に置きながら言う。


「まぁな・・・」


「隊長もついに初恋ですかぁ〜?」


「違うっ!!」


茶化す松本を一喝し、先ほどの様子を思い返した。
大きな瞳で、まっすぐ俺を見ていたがとても印象強く残っている。
自身が纏っている空気が一層、彼の魅力を引き立てている、そんな気がした。


「・・・・・楽しみだな。」


それほどの印象を与える人物が、どのような人物であるのか、知りたいと思った。






*おわり*


+あとがき+

始まり編。
冬獅郎のキャラがいまいちわからないデス。