拗ねた仕草
部屋の一番奥の席では、十番隊隊長である日番谷冬獅郎が仏頂面で書類に押印している。
「隊長、その仏頂面、どうにかならないんですか?隊員たちが怯えているじゃないですか。」
日番谷の机に山ほどある書類を積み重ねながら、副隊長の松本乱菊が言った。
「・・・・・うるさい。黙って仕事しろ。」
日番谷はキッと松本を一睨みし、作業を続けた。
「はーい。・・・・・・・ったく、がいないからって拗ねちゃって・・・自分で休ませたくせに・・・・」
松本は日番谷の机から離れながらボソッと呟いた。
「聞こえてるぞ!!」
それを耳聡く聞きつけた日番谷が怒鳴る。
「はーい、ごめんなさぁい。」
松本は軽く流し、自分の机に戻った。
松本が言うとは、先月の頭に、日番谷率いる十番隊に入隊した死神で、わずか2週間で第三席にまで上りつめた実力ある男のことだ。
は、男と呼ぶにはまだどこか幼く、かつ、一目では男性であると判別できないほど中性的な顔立ちで、しかも、まるで少女のような可愛らしい容姿をしており、日番谷は出逢ったその日に一目で彼の虜になっていた。
堅物で有名な日番谷が男に落ちたという噂はあっという間に尸魂界内に広まり(松本が面白がって言い触らしたのだが)、興味本位でを見に来る者たちが絶えず十番隊に押しかけてしまい、他の十番隊隊員から、“仕事に集中できない”と苦情が殺到し、日番谷は涙を呑んでに休暇を与えたのだった。
「・・・・・・はぁ・・・」
日番谷は書類の山の陰に隠れ、こっそり溜め息をついた。
「隊長〜!!明日辺りからに復活してもらったらどうです?こんなピリピリした空気の中で仕事するくらいなら、ちょっとくらい騒がしい方がマシだと思います!」
「・・・・言われなくてもそのつもりだ!」
日番谷はこめかみをひくつかせながらそう言い、そっぽを向いた。
*おわり*
+あとがき+
まだくっついてません。
主人公、名前だけですみません・・・