賽は投げられた



「・・・・・藍染隊長が・・・・死んだ?」


イヅルと共に定例集会に行ったはずなのに、ギンは一人で戻ってきた。
外が騒がしかったから、何だったのかと訊ね、返ってきた言葉に驚かされた。


「そうや。雛森くんが見つけたんや。誰かに殺されて、東大聖壁に磔にされとった。」


一言一言がやけにゆっくり聞こえて、時間が止まったのではという錯覚に陥った。


「・・・・・・そう、なんだ・・・・」


漸く押し出した声は震えていた。


「・・・・・・何でギンはそんなに落ち着いてるの?」


「そんなことあれへんよ。僕かて信じられへん。」


「そう・・・・」


ギンの言葉が、どこか軽いような気がした。


「・・・・・どないしたん?。」


ギンが不思議そうに僕の顔を覗き込む。
目の前にいる大好きな人を信じられない自分を見て欲しくなくて、顔を背けた。


「・・・・何でも、ないよ。」


押し出した声は震えていて。
ギンは少し表情を曇らせた。


「・・・・・・。」


少しの間があき、ギンが僕を抱きしめた。


「・・・・・・・ギン・・・」


僕はギンの背中に手を回し、抱きしめ返した。



しばしの抱擁のあと、ギンが用事があるからと僕から離れ、出入り口に向かった。
その時。


賽は投げられた・・・ここからが勝負や。


出て行こうとしたギンが、僕に聞こえないようにそう呟いていた。
偶然聞こえてしまった僕は、信じられない気持ちでギンの背中を見送った。



*おわり*


+あとがき+

一部、原作に沿って進みます。