仮面の裏側



藍染隊長が亡くなってから、どことなくギンの様子がおかしいように思う。
イヅルが何故か拘置されているし、通りがかりの隊員に聞いたところによると、五番隊の雛森副隊長も拘置されているという。
ギンが何かを知っているようだけれど、面と向かって訊けるはずもなく、僕はただ黙って見ているしか出来ない。


「・・・・・何でかな・・・今、ギンのことがすごく怖いよ・・・」


それでもやっぱり、僕はギンのことが好きだから・・・。
嫌われたくない、ただそれだけで、僕はギンにとって都合のいい存在になるしかない。
これからもずっと、そばにいたいと思うから。



叶うかな?



叶えられるかな?



僕のこの願いは・・・。






* * * * * * * * * *






執務室を出て行ったギンの後をコッソリつけていたら、気づかれていたのかいつの間にか撒かれていて、何処を見てもギンの姿は無かった。


「・・・・・しまったなぁ・・・」


尾行は得意な方だったのに、何処で気づかれてしまったのだろうか・・・。
霊圧は完全に消していたはずだし、気づかれる要素なんて何処にも無かったはず。
それとも、ギンの勘がとても優れていたのだろうか。


「・・・・・どうしよう・・・でも、ギンが何をしてるのか知りたいし・・・・・・・探そう。」


僕は覚悟を決めて、瀞霊廷内を隈なく探し回った。
気がついたときには日が暮れていて、三番隊隊舎まで戻ってきていた。
微かだけれど、近くにギンの霊圧が有る気配がする。
他にも何人かいるようで、いくつかの霊圧が混ざり合っていた。


―――ズダン


突如、何かが叩き落とされたかのような大きな音が聞こえ、僕は急いで音がした方へ回った。
ギンたちの姿が見えるのと同時に、日番谷隊長が斬魄刀を解放していた。
その先にはギンがいる。


「・・・・・え?」


ギンの近くにイヅルの姿もある。
日番谷隊長から少しはなれたところには雛森副隊長が倒れている。
何が起こっているのかさっぱりわからなかった。


何故、牢にいるはずのイヅルと雛森副隊長がこの場にいるのだろう。

何故、日番谷隊長は怒っているのだろう。

何故、ギンは・・・・・・・・・・・笑っているのだろう。


―――バシュッ


氷輪丸の水がギンの左腕に絡みつく。
そして、一瞬で凍りつき、さらには鎖がその腕を捕らえていた。


「終わりだ、市丸」


日番谷隊長が言った、その時。
解放された神鎗の切っ先が日番谷隊長に向かった。
日番谷隊長が間一髪のところで避けるものの、その切っ先は倒れている雛森副隊長に向かっていた。
松本副隊長が現れ、神鎗の攻撃を防ぎ、さらにギンを威嚇する。
ギンはニヤリと笑って刀を退き、そのまま姿を消していった。


「・・・・・・どうして・・・」


僕は頭の中が混乱していた。



――――ギンは一体、何をしようとしているの・・・?



わけがわからないまま、ただ呆然と、ギンが消えた空を見上げていた。



*おわり*


+あとがき+

仮面の裏側・・・?
こんなので良いんでしょうか。
主人公の知らない姿、というのでいかかですか?