そばにいるよ。



6月も半ばに近づき、とうとう梅雨が来た。
雨の日は思う存分テニスが出来ないからイヤだ・・・と友人達が嘆いていた。


「僕は良いと思うんだけどなぁ・・・」


どんよりと薄暗い空から降る雨を窓越しに見上げ、僕は呟いた。


「・・・何が良いんだ、?」


机の上の書類に向かってせっせとペンを走らせていた景吾が手を止めずにチラッと僕を見る。


「んー、雨・・・ていうか、梅雨?」


「どうしてだ?」


景吾の不思議そうな目が僕の目と合った。


「こーやって、景吾のそばにいる時間が増えるから。テニスやってる姿もカッコいいけど、やっぱ、そばにいるときが一番安心するんだよね。」


僕がそう言うと、景吾は一瞬面食らった顔をして、それから無言で顔を背けた。
僅かに見えた景吾の頬がうっすらと赤かった。


「・・・・・・・・もう終わらせるから、あと5分待っていろ。」


景吾は気を落ち着かせて、再び書類にペンを走らせる。


「うん!」


僕は大きく頷いて、もう一度空を見上げた。



―――こんな雨の日は、ずっとそばにいられるから、僕はとても幸せだと思う。




*おわり*




+あとがき+


ウチの地元が梅雨入りしたので、微妙に梅雨ネタ・・・
てか、名前変換が一回だけ・・・・スミマセン