Shooting star





「なぁ、まだ終わらないのかよ?」


「本当に。今日も定時では帰れなさそうね。」


応接用ソファーで寛いでいるのは、私の部下である、少佐とリザ・ ホークアイ中尉だ。


「・・・・、ホークアイ中尉・・・・君たちは私を何だと思っているんだ?」


「マスタング大佐。俺は少佐。今は勤務中。OK?」


「プライベートと仕事を混在させるのはやめてください、大佐。」


厳しい二人の声が重なる。


「その勤務中にお茶会開いてるのは君たちじゃないか・・・・」


私は呆れて気が抜けた。
というか、そもそも部下であるくせに敬語を使わないところからして、公私混同しているのはの方だと私は思うのだが・・・。
それを口に出した途端、冷ややかな眼差しを向けられることは免れないため、言わない方が賢明だろう。


「無駄口叩いていないで早く終わらせて下さいね、大佐。」


紅茶を飲みながら、ホークアイ中尉が言った。


「わかっている。」


私は彼等の視線を痛い程に浴びながら、急いで書類に目を通した。






「・・・・・・終わった・・・・」


数時間後、ようやく全ての作業が終わり、ペンを放り出して机に突っ伏した。 「お疲れ様です、大佐。」


「お疲れ様。」


ホークアイ中尉とがそれぞれ労いの言葉をかけてくれたが、二人の意識は既に帰宅 することにあるようだった。


「じゃあ、俺はこれを提出してくるから、ホークアイ中尉は帰っていいよ。お疲れ様。」


が書類を抱えながら、ホークアイ中尉に声をかけた。


「えぇ。お疲れ様でした、少佐、マスタング大佐。」


ホークアイ中尉が執務室から出ていった。
も書類を抱え、執務室から出た。



「・・・・・帰るよ、ロイ。」


書類を提出し終えたが戻ってきた。
名前で呼ぶということは、プライベートモードに入ったということだ。


・・・あぁ、帰ろうか。」


手早く支度を済ませ、一緒に執務室を出た。


「お前、仕事遅すぎ。もう暗くなってんじゃん。」


暗くなった空を見上げ、がブツブツと文句を言う。


「すまないな、こんな時間まで付き合わせて。」


「俺にじゃなくて、リザに謝ってよ。毎日毎日、お前のせいで残業だから可哀想だ。」


がそう言うのなら・・・・・今度お詫びに食事にでも誘うさ。」


「いくら相手がリザとはいえ、二人きりで行ったら許さないよ?」


が私を睨みつけてくる。


「・・・・わかっているさ。その時はも一緒だ。」


「よろしい。」


は満足げに頷いた。


「あ。流れ星!」


ふと空を見上げたが空を指差した。


「ロイが浮気しませんように。」


真剣な顔で願い事をする
だが、願い事の内容が‥‥


「そんなに私が信用できないのか?・・・・」


「うん。」


即答するに頭痛を覚えた。


「私が愛しているのは、だけだ。信じてくれ。」


「本当に?」


「本当だ。」


の腕を掴み、体を引き寄せ。肩を抱く。


「・・・・・まぁ、信じてもいいよ。」


すると、は恥ずかしそうに顔を伏せた。


「それは良かった。さぁ、帰ろうか。」


「うん。」


の手を握ったまま歩き、家路についた。



星になど願いを託さぬとも、私の想いは既に決まっているのだから・・・



*おわり*



+あとがき+


リザさん友情出演。