鮮明




一年前の春、僕は運命の出逢いをした・・・







「うわっ・・・って、観月さん?人の部屋で何してるんですか?」


裕太は自室のドアを開け、誰も居ないはずの部屋の重い空気に気付き、後ずさった。


「何だ、裕太くんですか・・・は居ないんですか?」


重い空気を発して部屋の真中に座っていたのは、裕太の部活の先輩の観月だった。


なら、談話室でテレビ見てますよ。」


同室者の事を聞かれ、裕太は素直に先ほど見た光景をそのまま伝えた。


「・・・・・そうですか。」


怒りのオーラを纏って観月は立ち上がった。


「み・・・観月さん、が何かしたんですか・・・・?」


観月がここまで怒る様を見て、裕太は同室者が何をしたのか気になった。


「・・・・が部屋に来てくれと言うので、わざわざ来たというのに、は談話室ですか・・・んふっ。」


観月はふつふつと湧き上がる怒りを抑えることなく言った。


「そ・・・・そうですか・・・。あの、俺、呼んできましょうか?」


裕太は一秒でも早くこの場から逃げたい一心で申し出た。


「いいえ。僕が自分で行ってきますよ。裕太くんは部屋に居てください。がもし戻ってきたら縛り付けておいてください。いつもいつもウロウロと出歩いてますからね。捕まえるのに一苦労ですよ。」


「はぁ・・・・わかりました。」


颯爽と去っていく観月の背中を見送って、裕太はどこか安全な場所へ逃げようと考えた。






* * * * * * * * * * *






「あっはっはっはっはっはっ!!!!!マジウケる!!!」


談話室の外にまで聞こえる、楽しそうなの笑い声を聞き、観月はこめかみを抑えた。


!!!!一体何を考えてるんですか!?」


バンッと大きな音を立てて談話室のドアを開け、観月は怒鳴った。


「げっ・・・・観月さん・・・・」


はバツが悪そうな顔をした。


「げっ、じゃないですよ。が来いと言うから部屋に行ったのに、が部屋に居なければ意味が無いでしょう?」


「あははは。確かにそうだ。」


「笑い事じゃありません!!!」


「ごめんなさーい。今から部屋戻るって。」


は椅子から立ち上がって、談話室を出た。


「まったく・・・君って言う人は人を振り回すのが好きですよね。」


ぶつぶつと観月は文句を言う。


「何で?俺、観月さんにしかワガママとか言ってないじゃん。」


は観月の腕に自分の腕を絡めて、上目遣いで観月を見た。


「・・・・・・はぁ・・・どうして、僕はこうもに甘いんでしょうね・・・。」


観月は深くため息を吐いた。


「何言ってんの。そんなの初めて逢った時からじゃん。」


「そうでしたね・・・。あの頃の僕はどうかしてたんですよ。」


「えー!!何ソレ?ヒドくなーい?」


「君はその辺の女子高生ですか?!」


「違いますぅ〜。でも、マジでショックだなぁ〜。俺はあの時運命感じたのにさ〜。」


は俯いたため、観月にその表情はわからない。


「何言ってるんですか。さっきのは冗談ですよ。」


観月は呆れたように言った。


「ホントに?」


はぱっと顔を上げた。


「本当ですよ。」


観月が少し微笑んで言うと、


「よかった・・・」


は安心したように笑った。


「そういえば・・・何の用だったんですか?」


ふと思い出したように観月は尋ねた。


「え?別に何も無いよ。ただ、観月さんと話したかっただけ。」


「そうですか・・・・」


観月は呆れて、開いた口が塞がらない。







出逢った頃のことは鮮明に覚えている。これからもずっと、忘れたりなんかしない・・・




*おわり*





+あとがき+



話の意味がわからない・・・
初観月夢!どうでしょう??