コスモスが揺れる朝
- 夕焼け空の下で a f t e r -
翌朝、カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。
気だるい体をゆっくり起こすと、俺にくっついて眠っていた向日さんが身じろぐ。
「ん・・・・・もう、朝?」
目をこすりながら向日さんが呟いた。
「起きるにはまだ早いんで、寝てて良いですよ。」
俺は向日さんの髪を指で梳きながら囁いた。
「いや、起きる・・・」
向日さんはゆっくりと起き上がると、俺の顔を見てニッコリと笑った。
「おはよ、日吉。」
「おはようございます、向日さん。」
その笑顔につられて俺もわずかに頬が緩む。
「今日も良い天気だな!」
カーテンの隙間から差し込む光に気づいた向日さんが嬉しそうにそう言った。
「窓開けるぞ。」
向日さんは窓に近づき、カーテンを引き、窓を開け放った。
吹き抜けた風が向日さんの髪を揺らす。
その姿がとても綺麗で、つい見惚れてしまった。
「日吉もこっち来いよ。気持ち良いぜ!」
「はい。」
向日さんの隣に並び、窓から吹き込む風を受ける。
ふと視線を窓の外へやると、庭に咲くコスモスが風に揺れていた。
思わず向日さんを抱き寄せていて、向日さんがキョトンとした顔で俺を見上げていた。
「どうしたんだ?日吉。」
「いえ・・・可愛いなと思って。」
唐突過ぎただろうかと思いながら言う。
「ふぅん。」
大して気にしてもいない風に向日さんが相槌を打ち、窓の外へと視線を向けた。
「・・・・向日さん。」
「ん?」
名前を呼ぶと、向日さんが俺を見上げた。
藍色の勝気な瞳が俺を見つめている。
俺は向日さんの前髪をかき上げ、額に口付けた。
「次はこっちな。」
向日さんはそう言って、自分の唇を人差し指で示した。
「えぇ、もちろん。」
ゆっくりと顔を近づけ、やわらかな唇に触れた。
長く、永く、口付けを交わした。
俺たちの姿を、風に揺れるコスモスたちがずっと見つめていた。
*おわり*
+あとがき+
BD小説よりも甘い話に仕上がったと思います。
自分で書いててすごく恥ずかしい・・・