君が居る場所
+11.尸魂界からの使者+
翌日、遅刻して登校してきた石田は包帯だらけになっていた。
あれほどの無茶をしておいて、その程度の怪我で済んで良かったと思う。
「・・・・・・・面倒なことにならないと良いが・・・」
恐らく、尸魂界は昨日の騒動をどこかから知るだろう。
万が一の時のために、喜助と話をつけておいた方が良いかもしれない。
「どうしたの、?何か悩みごと?」
水色に声をかけられ、俺は考えるのをやめた。
「いや?今日の弁当、ちょっと失敗したんだよ。失敗したオカズを啓吾に食わせようかどうか迷ってんだ。アイツ、昨日、俺の言いつけ破ったんだよ。」
咄嗟に思いついて言うと、水色がニヤリと笑った。
「が“あーん”ってやれば食べるんじゃない?」
「おぉ、なるほどな。・・・って、随分とベタだな・・・」
「たまには良いんじゃない?」
「それもそうだな。昼休みが楽しみだぜ。」
俺も水色も啓吾の気持ちを踏みにじるつもりはないが、あいつをからかうと楽しいため、どうしても意地悪なことばかりを思いついてしまうのだった。
そして、昼休みになると、何故か一護は石田まで誘っていた。
しかし、俺たちと石田とでは話題が合わないため、どうしても無言になってしまう。
一護が啓吾に場を盛り上げろと無理難題を押し付け、自分は自分で石田と静かに言い合いを始めている。
「・・・・・・・・・・どう出るつもりなんだろうな。」
昨夜から感じていた強い気配が気がかりで、俺は青く澄んだ空を見上げた。
* * * * * * * * * *
夜になり、奴等の気配を感じ、俺は家を出た。
一護の家の近くまで来ると、その気配は強くなり、同時に朽木の気配もした。
「・・・っ!?」
奴等と朽木の姿を見つけ、俺は塀の陰に身を潜めた。
「・・・・・・あれは・・・つい先日、六番隊の副隊長に昇進したという・・・阿散井恋次?それと、朽木白哉か。チッ、あいつが来るとはな・・・」
運が悪い・・・俺が出るに出られなくなってしまった。
白哉は俺のことを知っている。
俺のことをまったく知らない、阿散井恋次のみだったら朽木を助けてやれたのに・・・
「どうしたら・・・ん?」
阿散井が朽木に斬りかかった時、石田が姿を現した。
そして、石田は阿散井に斬られ、その直後に死覇装姿の一護が到着した。
「・・・そうか・・・読めたぜ。てめぇが・・・ルキアからチカラを奪った人間かよ・・・!」
「だったらどうするってんだ?」
「殺す!!」
阿散井が一護に飛び掛り、何度か刀がぶつかり合う。
そして、とうとう一護が斬られてしまった。
(・・・・・やはり、今の一護ではまだ無理か・・・)
大虚を追い返したところを見ている所為か、僅かに期待を持っていたが、一護の力はまだまだ未熟なのだということを思い知った。
その後も、一時的に形勢逆転したかのように見えたが、最終的には白哉に斬られ、朽木に切り捨てられる形で、一護は敗北した。
そして、血を流して倒れた一護に、冷たい雨が降り注ぐ。
「・・・・・・・喜助。一護を助けてくれ・・・」
きっとどこかで見ていたのだろう・・・すぐに現れた喜助は、
「わかっていますよ。ホラ、そんな顔してちゃ、黒崎サンが目覚めた時にビックリしちゃいますよ、サン。」
俺にそう言って、一護の方へと向かった。
「・・・そんな顔って、どんな顔だよ・・・」
俺は笑おうとして笑えず、何もしなかった自分に一番腹が立ち、同時に悔しくなった。
この世界に・・・この町にいることをアイツらに知られたくない、というのはただの俺の意地でしかなかったのだと気付いた。
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+memo+
色々端折ってたら無理やりな展開になってしまった・・・(汗