君が居る場所
+26.平穏+
「・・・・・・・・・そう、か・・・・」
翌朝、冬獅郎から告げられた言葉は衝撃的だった。
俺が尸魂界を離れてしばらく経ったある日、藍染は俺が現世で死んだという噂を流したようだった。
「・・・・何て奴だ・・・・・」
いくら思い通りにいかないからって人を勝手に殺すな!!と憤りを感じる。
「・・・・今思えば、あの噂も唐突過ぎたように思う。それに・・・・・元々はあの頃には自分の痕跡を消していたんだよな?」
冬獅郎の問いに静かに頷く。
確かにあの頃の俺は、ある理由から、尸魂界から自分が存在したという痕跡を消していた。
元々、十一番隊隊長の座を捨てた後、行方不明になるつもりでいたのだ。
周りとのかかわりを断ち切った方が動きやすいと思っていたから。
しかし、ある日、最年少の死神が十番隊隊長になったと聞いて、好奇心に駆られてこっそり見に行ったのが運の尽きだったと言うか・・・・・。
冬獅郎や松本と関わるうちに本来の目的を忘れかけていた。
目的を思い出すきっかけになったのは冬獅郎の告白だった。
そのお陰で、俺は目的を遂行するため尸魂界を離れる決意をした。
「・・・・・・・もういいや・・・・」
俺は考え込む冬獅郎の頭を軽く叩いた。
* * * * * * * * * *
仕事に行くという冬獅郎と別行動を取り、白哉の見舞いに行った。
その後、十番隊隊舎に行くと、松本と吉良がベロンベロンに酔っ払っていた。
というか、吉良はすでに失神しかかっているとも言う。
「あ、〜!!アンタも一緒にどう?」
「んー。その前に、冬獅郎どこ行った?」
「さあ?」
松本が首を傾げる。
「ふうん。まあいい、そのうち帰ってくるか。よーし、俺も飲むぞ!」
「そうこなくっちゃ!!」
松本は嬉しそうに酒瓶を俺に差し出した。
「おーい修兵ぇ!!ちょっと寄ってきなさいよ!!」
松本が窓の外に向かって叫ぶ。
呼ばれた檜佐木は嬉々として中へ入ってきた。
そして、泡を吹いて倒れている吉良を見て大慌てで松本を呼ぶが、松本は悠長に京楽と話している。
「てか、さんも何で助けてやらないんですか!?」
檜佐木が喚く。
「・・・・・・・・え?俺が来たときにはもうこんな状態だったし、俺の責任じゃねぇもん。」
「そういう問題じゃないッスよ!!」
「・・・・・ヘイヘイ、何とかすれば良いんだろ。・・・・オラ、しっかりしろよ!!情けねぇなぁ・・・男だろ?」
近くにあった湯飲みにお茶を注ぎ、吉良の口に入れてやる。
「グボッ・・・・ゴホッゴホッ!!!」
何とか息を吹き返した吉良はそのまま気を失った。
「これで大丈夫だろ。」
「は、はぁ・・・・そうッスか・・・?」
檜佐木は気の毒そうな眼差しで吉良を見下ろした。
「あぁ、そうだ。・・・・松本!!此処にある酒もらってくぞー!!」
俺は酒瓶を片手に十番隊隊舎を後にした。
* * * * * * * * * *
瀞霊廷の外に出て、俺は西流魂街にいるジ丹坊に会いに行った。
「あ、いたいた。おーい!!ジ丹坊!!」
「ん?・・・・・!!!!」
街の子供たちと遊んでいたジ丹坊は俺に気づくと泣きながら近づいてきた。
「〜っ!!!会いだがっただ〜っ!!!」
「おっと、お前は相変わらずだなぁ・・・・俺を潰す気かよ。」
俺は抱きついてくるジ丹坊を避け、その肩に飛び乗った。
「す、すまながっだ・・・・怪我無ぇか?」
「ヘーキヘーキ。これ、見舞いだ。・・・・怪我、完治したみてぇだな。」
俺は持っていた酒瓶をジ丹坊に差し出し、ジ丹坊の左肩を見下ろした。
「あぁ、が治すでくれたお陰だ。ありがどう。」
「お礼は織姫に言ってやってくれよ。ほとんどアイツの力だ。・・・・・・ごめんな、俺のバカみたいな意地の所為でお前に怪我させちまった。俺があの時、隠れてねぇでちゃんとお前の前に出ていれば、お前は怪我しなくて済んだんだ。門の向こうに市丸がいること、一番先に気づいたのは俺だったからな・・・」
「は悪ぐねぇだ!!全部オラが弱ぇがら・・・・」
「・・・・・ハ、ハハ・・・・お前はホント変わんねぇなぁ・・・・優しいところも全部昔のままだ。・・・・・許してくれてありがとう。」
俺はそう言って、ジ丹坊の肩から飛び降りた。
「・・・・俺、明日、一護たちと一緒に現世に戻るよ。・・・・・また、近いうちに会いに来る。じゃあな!!」
「っ!!!」
ジ丹坊が追いかけてくる前に瀞霊廷内に飛び込んだ。
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+memo+
さらっと書きすぎですかね?
もうちょっと細かく書くべきでしょうか・・・・・?
この辺は番外編書こうと思ってるのでそちらに期待(!?)してください。
矛盾点を発見したので修正しました。(2011.1.3)