君が居る場所



+03.大切なもの+



バイトが終わり、家に帰る途中、周りの空気が変わった気がして、足を止めた。


「・・・・何だ?」


一護の家の方角に、妙な気配がある。
その気配は一瞬消え、また違うところに現れた。
今度は、近い。


「・・・・織姫、か?」


俺は意識を集中させて、気配を探った。
居場所を突き止めた瞬間、俺の足は自然と織姫の家に向かっていた。






* * * * * * * * * *






―――ドン!!


織姫の家に近づくと、あの気配が強くなっていき、何かがぶつかり合うような大きな音がした。
アパートの下には朽木さんが立っていた。
俺が朽木さんの横をすり抜けて、階段を駆け上がる。


「織姫っ!?」


俺は階段を駆け上がり、迷わず織姫の部屋に飛び込んだ。


「織姫!!たつき!!」


部屋の中央にたつきが血を流して倒れていた。
クローゼットの前には、胸に鎖がついた織姫が座っていた。


っ!?」


そして、織姫を庇うように間に立ち、大きな刀で化け物を抑えている一護が俺の姿を見て目を見開いた。
俺は一護に構わず、床に倒れている織姫の体を横目に、たつきのそばに寄った。


「たつき・・・・もう大丈夫だからな・・・」


俺はたつきの止血をするためにジャケットを脱ぐ。
一護は霊体になっている織姫に気を取られ、化け物に弾き飛ばされた。
そして、その化け物が振り回した尻尾が偶然俺に当たり、俺は思い切り吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。


「ぐぁっ!!・・・っぁ・・・・しまっ・・・」


壁にぶつかった衝撃で、意識が朦朧とする中、


「・・・お・・・お兄ちゃん!?」


織姫のその言葉だけが耳に届いた。


(気づいてしまったのか・・・・織姫・・・・)


ぼやける視界に化け物の本来の姿がうっすらと映り、俺はとうとう意識を手放した。





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+memo+

一護視点にするか織姫視点にするか迷った挙句、主人公視点で場面を端折ることに・・・スミマセン;