The angel made the boy look at a momentary dream.
This is the daily talk which they passed and which was very short and was very happy.
これは彼らが過ごした、とても短くて、とても幸福だった日々のお話です。
First love- The day from which the angel flew down - 前編
初恋-天使が舞い降りた日-
「ねぇねぇ、向日〜。天使の存在って信じる?」
俺は前の席で雑誌を読んでいる向日の背中に問いかけた。
「は?珍しく起きてたかと思えば、そんなこと考えてたのかよ?」
椅子からずり落ちそうになった向日は、呆れた顔で俺を見てくる。
「ん〜・・・あのねぇ、この間、公園で昼寝してたらさ、木の上から降ってきたんだよね。」
「・・・・・・・バカバカしい・・・。」
向日は体制を整えて、再び雑誌に目を向けた。
「ホントなんだよ〜。ホントに天使だったんだってば!!」
俺は向日の椅子を蹴って、机に突っ伏した。
「ホントなのになぁ・・・・。すっげぇキレーだったんだから・・・。」
俺は目を閉じて、あの時の事を思い出す。
* * * * * * * * * *
バサバサバサッ
『うわっ!?あぶな・・・・・っ!!!!』
『ZZZZZZZ・・・ふがっ!?』
公園の日陰になっている木の下で昼寝をしていた俺の上に何かが落ちた。
目を開けると、俺の上に真っ白な人が乗っていた。透き通るほど白い肌に、日に当たって金色に光る、少し長めの髪がサラサラと風に流されていて、すごく綺麗だった。
『だれ・・・・?』
まだ覚醒しきっていない頭で事態を把握しようとしても、よくわからない。
『ごめんね、まさか落ちるとは思ってなくて・・・』
その人は小さく微笑んだ。
何故かわからないけれど、俺はすごく幸せな気分になった。
『あ、もうこんな時間!!早く戻らないと・・・。あ、本当にごめんね。』
そう言って、その人は立ち上がって、公園の外へと走っていった。
『待って!!俺、ジローって言うんだ!!芥川慈郎!!』
俺は精一杯の声を張り上げて、名前を言った。
すると、その人は一瞬立ち止まって、振り返って、笑ってくれた。
『僕の名前は、。だよ!!また会えると良いね!!』
それだけ言うと、はまた走り出した。
まるで、背中に羽が生えているようで、ふわふわと浮いているみたいだった。
そう・・・まるで天使のようだった・・・
――――それが、俺とが出逢った瞬間だった。
* * * * * * * * * *
あれから1週間。俺は毎日あの公園に通った。
にまた会いたかった。
「・・・・・・今日も居ない、か・・・。」
俺は最初にと会った木の下に座った。
空を見上げると、真っ青で、光が反射してキラキラと輝いていた。
「・・・・・・・ネムイ・・・・」
心地よい風に、俺は眠くなった。
あっという間に、夢の世界へと落ちていった。
どれくらい眠ったのだろうか。
ふと、温かい気持ちになって、目を開けると、そこには探し求めていた人物が居た。
「・・・・ぁ、ごめんね。起こしちゃった?」
「・・・?」
の手が俺の頭の上にあった。
「・・・・・あ、これ?頭に葉っぱついてたから・・・」
は俺の頭の上から手をどかし、葉っぱを見せてくれた。
俺は葉っぱよりも、の細くて綺麗な指に見惚れていた。
「・・・・・・・・ジロー?」
俺は無意識のうちにの腕を掴んでいた。
俺の腕よりも一回り以上は細い腕に、俺はビックリした。
そして、の身体を引き寄せて、やんわりと抱きしめた。
少しでも力を入れたら折れてしまいそうなほど華奢な身体・・・。
「・・・・・どうしたの?」
はビックリしながらも、抵抗はしなかった。
「・・・・俺ね、のこと、好きになっちゃったんだ・・・。」
まだ会って2回目だというのに、どうして、そう言ってしまったのかわからない。
だけど、今言わないとダメな気がした。
「・・・・・・・・ありがとう。僕もジローのこと好きだよ。」
は何度も瞬きをした後、ゆっくり、一字一句を噛み締めるように言った。
――――それから、俺たちの恋愛は始まった。
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