rainy day



+前編+



「ゲッ・・・・雨降ってきたにゃ〜」


今日は朝からすっきりしない天気で、空気がジメジメと湿っぽい一日だった。
HRの辺りから急に空が暗くなり、今ではもう大粒の雨が降り始めていた。
放課後は、雨が降っていなかったら、練習があるはずだったが、この雨では部活は中止になるに違いない。


「今日の練習はないだろうね」


「うぅ〜残念。今日は大石とダブルスの練習だったのににゃ〜・・・」


僕の隣で窓の外を見ていた英二は、大袈裟なほどガックリと項垂れた。


「明日晴れたらできるし、今日は休養日ってことじゃない?」


「むぅ・・・・不二、何か嬉しそう・・・・部活やりたくないの?」


「そんなことはないよ。たまにはこんな日も良いかなって思っただけだから」


英二にはそう答えたが、心の中では別のことを考えていた。


「ふーん・・・・」


英二は納得したのかしていないのか、曖昧に相槌を打った。


「おーい、エージ、不二!!」


教室の入り口に大石が姿を現した。


「大石〜!!」


英二が鉄砲玉のように大石のもとへ飛んでいった。


「練習は!?」


「あぁ・・・・今日の練習は中止になったよ。明日の朝練は、雨が降っていなかったら決行で、雨が降っていたら休み。放課後は明日の天気次第ってことになったから」


「そっかぁ〜・・・・・つまんにゃいの。大石一緒に帰ろーよ」


「あぁ、良いよ。でも、乾とか一年生たちにも伝えに行かなきゃいけないから待っててくれるかい?」


「大石、一年生には僕が伝えに行くよ。丁度、越前に用事があったんだ」


「え?良いのかい?じゃあ、お願いするよ」


「うん。じゃあ、また明日ね」


僕は大石たちに手を振って、教室を出た。



* * * * * * * * * *



一年生の教室までやってくると、目当ての人物が教室から出てくるところだった。


「越前!」


ゆっくり近づきながら呼びかけると、双子のようにそっくりな顔が二つ振り返った。


「・・・・・不二先輩」


テニス部の後輩である、越前リョーマが僕の名前を呼び、少し嫌そうな顔をした。


「何ですか?」


「今日の練習休みになったって大石から伝言を預かってるんだ。それから、明日の朝練は雨が降ってなかったら決行で、雨が降ってたら休み。あと、放課後の練習は明日の天気次第だってさ。越前、他の一年生部員にも伝えてきてくれる?」


「何で俺が・・・・・、ついて来てよ」


越前は隣にいる彼の従兄弟である越前くんにそう言った。


「俺はテニス部員じゃないから関係ない。一人で行くのが嫌だったら不二先輩と行けば?」


くんは無表情のまま冷たく言い放った。


「不二先輩が俺と一緒に行くんだったら、俺が行く必要ないじゃん」


「俺は先に帰る。・・・・・さようなら、不二先輩」


「ちょっと待ってよ、。俺、傘無いって言っただろ。入れてくれるんじゃなかったの?」


「入れてほしければ、早く行けよ。一分待って戻って来なかったら帰るから」


くんは言い捨てると、スタスタと昇降口へと歩いていった。


「一分なんて無理に決まってるだろ!!」


越前は遠ざかっていくくんの背中に向かって悲痛な声を上げた。


「じゃあ、越前。後は頼んだよ」


僕は急いでくんの後を追った。
これで邪魔者はいなくなった。



後編


+memo+

思ったより長くなってしまったので分けます。