Trial of Luck



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伊武くんに嘘をついてから1週間が過ぎた。
その間、顔を合わせづらくて、連絡すらしなかった。


「・・・・・やっぱ、まずかったかなぁ・・・ねぇ、跡部くん?」


放課後、拉致する勢いで、跡部くんを無理やりファミレスまでつれて来た。
そして、一番奥の席に陣取って、跡部くんに相談を持ちかけた。


「・・・俺が知るかよ。さっさと会いに行って真実話せば良いだろうが。」


神尾くんをだしに使ったことが気に入らないみたいで、跡部くんはいつにもまして不機嫌を顕にしていて、俺がチラッと目線を送ると、ジロリと睨むのだ。


「それができれば苦労しないよ。・・・・あー、絶対嫌われたー・・・」


「ウダウダくだらねぇことで悩んでんじゃねぇよ。鬱陶しい。」


こめかみをピクピクと引きつらせながら、跡部くんは言った。


「ヒドイ・・・」


ぱたりとテーブルに突っ伏す俺。


(あ、涙出てきた・・・)


じわっと滲む涙を、瞬きで散らすと、頬が少し濡れた。


「・・・・・泣くな、ウゼェ。」


跡部くんは、はぁ、と大袈裟に溜め息を吐き、携帯電話を取り出した。
何をするんだろうと、ぼんやり眺めていると、跡部くんは手早く何処かへメールを送った。


「・・・・・・・ズズッ」


残り僅かだったアイスコーヒーを飲み干すと、


「音立てんじゃねぇ。品を疑われるだろ。」


音を立てたことを咎められた。


「・・・・ったく。」


だけど、それ以上は何も言ってこなかった。
俺たちの間に沈黙が流れる。




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