第三話
入学式後、各教室でのオリエンテーリングが終わると解散となった。 跡部はというと、入学式での発言によって一躍有名人となり、女子生徒たちがキャーキャーと黄色い声を上げて騒いでいた。 (・・・・・・・わけわかんねぇ。あんな高飛車な奴のどこが良いんだか・・・・) 俺はクラスメートたちとは関わらずにさっさと教室を出た。 校舎内を一通り見て回ったあと、昇降口を出ると、何人かの生徒がバタバタとどこかへと走っていった。 部活に入るつもりはないので、部室棟などは見る必要はないから帰ろうと思っていたのだが、みんながどこへ向かっているのかが気になって、見に行ってみることにした。 (まさか跡部が何か騒ぎを起こしているわけじゃねぇだろうな・・・・) そんなことが一瞬頭に過ぎった。 「まさかな・・・・」 みんなの後を追いたどり着いた場所はテニスコートだった。 テニスコートということで、俺の嫌な予感は的中したことがわかった。 「ぜ、是非・・・部長をやって・・・・・・・・・くれ」 俺がギャラリー席に着いた頃には、何人ものテニス部員がテニスコートに倒れているところだった。 部長らしき先輩が息も絶え絶えにそう言い、 「あーん、当然だろ」 跡部が自信たっぷりに見下していた。 (何がどうなっているのかわかんねぇ・・・・) 倒れている部員たちも跡部もテニスラケットを持っているということは、テニスの試合をしたのだろう。 すると、跡部はあの人数に勝ったということか。 その後、一年らしき部員が二人跡部に挑戦し、苦戦の末負けた。 「不甲斐無いなぁ、一年に引っ掻き回されて・・・・」 呆然としていると、どこからか関西弁の男子生徒が現れた。 「何か文句あるよーじゃねーか、そこのメガネ」 跡部が関西弁の男を挑発した。 (誰だ?アイツ・・・・) 跡部と対峙し、自信ありげに笑う、その男。 何故か目が離せなかった。 「キャ〜〜〜!!跡部様ぁ!!」 気がつくと周りの席には女子生徒があふれていた。 * * * * * * * * * * 跡部たちの試合は日が暮れるまで続いた。 結果は跡部の勝ちで、跡部は何やら満足そうだった。 関西弁の男の名は忍足侑士というらしい。 (・・・・・・・スゲェ奴らだな) 俺は騒がしい観客席を後にした。 (変な奴だと思ってたけど、案外カッコイイのかもな・・・・) 跡部に対する考えを改めさせられる試合内容だった。 テニスのことなんて何も知らないから、アイツがどれだけ強いかはわからない。 だけど、今のこの学園内ではトップに立つにふさわしい男なのだろう。 「できることなら関わり合いになりたくないけどな・・・・」 目立たず平和に過ごしたいと思うから、なるべく関わらないようにしていこうと決めた。 第二話← →第四話 戻る +あとがき+ 次からは日常生活編です。 他のキャラたちもじわじわ出していこうと思います。 |