第十七話



休み時間になり、俺はB組へ向かった。


「あのう・・・・」


ドアの近くにいた男子生徒に声をかけると、その男子生徒は顔を真っ赤にして立ち上がった。


「な、ななな何か用ですか!?」


何故か焦った様子だった。


「?えっと・・・・滝くんいますか?」


「え・・・・・・あ、はい。います」


滝の名前を出した途端、彼は急激に落ち込んだ。
あたりを見渡せば、他の男子もしょぼくれているように見えた。


(・・・・・何なんだ?)


疑問に思っていると、教室の奥から滝が現れた。


さん?どうかしたの?」


「聞きたいことがあって・・・・・・えっと、テニス部の忍足くんが何組か知ってる?」


「忍足?忍足ならF組だよ」


「F組ね・・・・・ありがとう。それじゃ」


俺は礼もそこそこにB組の教室から離れた。
滝は跡部と休日に出かけるくらい仲が良いみたいだったから、跡部との勝負のために味方にするには少し不安がある。
ならば、ライバルである忍足の方がまだ何とか協力してもらえそうだと思った。


「・・・・・ここか」


校舎の真ん中を過ぎた辺りにF組の教室はあった。
A組は校舎の端にあるため、割と距離がある。


「すみません。忍足くんいますか?」


ここもまた、ドアの近くに男子生徒がおり、俺は彼に声をかけた。
すると、彼も最初は顔を赤くしてあわてふためいていたが、忍足の名前を言った途端、急速に落ち込んだ。


「あれ?じゃん」


教室の中から名を呼ばれ、見てみると、向日が立っていた。
その後ろには忍足もいた。


さん、どないしたん?もう休み時間終わるで」


近づいてきた忍足は優しい声音の割には表情が固かった。


「忍足くんにお願いがあって・・・・・」


「お願い?何だよ、それ?」


向日が興味津々といった様子で話に割り込んできた。


「二週間後の中間考査に向けて、忍足くんに勉強を教えてほしくて・・・・・理由は今は言えない」


俺は向日を無視して話を進めた。


「それは構わんけど、今週中は毎日部活あるから、勉強する時間あらへんよ?」


「部活終わるまで待ってる」


そこまで話したところで、予鈴が鳴った。


「あ・・・・・次の休み時間にまた来るから、詳しいことはその時に」


「ああ・・・・わかった」


俺は急いで教室に戻った。



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+あとがき+

私は跡部と滝は親友かなと思ってます。
萩之介って呼んでたし。
がっくんちょっとウザい子にしちゃった(汗)