第二十一話



っ」


さん、何で来たんや・・・・・」


「ヒュウ♪超上玉じゃん。何、お前らのツレなのかよ?」


高校生のうち一人が俺に近づいてきた。
スッと忍足が庇うように俺の前に立つ。


「何、一丁前にナイト気取りか。ザケンな、カノジョは俺らと遊ぶんだよ」


「お断りだね。何でアンタらと遊ばなきゃなんないわけ?そんなことに時間割いてる暇ないよ」


ハッと鼻で笑ってやると、高校生たちは見る見るうちに怒りをあらわにした。


「あぁ!?生意気言ってんじゃねぇよ!!どけ!!」


もう一人が忍足を突き飛ばし、俺の方へ手を伸ばした。
俺は捕まれる寸前に払いのけ、そのまま懐へ飛び込んだ。
鳩尾に一撃食らわすと、男はよろめいた。
その様子を見ていた残りの二人が次々と襲い掛かってくるが、俺はそれらを一撃で打ちのめした。
地面に崩れ落ちた三人を見下ろす。


「次こんな真似したら、もっと痛い目見るよ。それが嫌だったら二度とやらないことだね」


高校生たちは顔を上げる気力すらないらしく、ぐったりと項垂れていた。


・・・・お前強いな・・・・」


宍戸が呆然と呟く。


「あー・・・・まあね・・・・それより、早く行こう。勉強する時間なくなっちゃう」


三人を促し、路地の出口へ向かう。
と、背後で何かが動く気配があった。
俺は反射的に三人を突き飛ばし、そのまま回し蹴りをした。
案の定、突っ込んで来ていた高校生三人が吹き飛んだ。


「だから言ったじゃん。もっと痛い目見るよって・・・・見かけだけで舐めてかかるからこういうことになるんだよ。良い勉強になったね?」


俺がニッコリ微笑むと、彼らは青ざめて俺たちがいる方とは反対側の出口へ駆け出していった。


「・・・・・さん、何か武道やってるんか?」


忍足が真剣な眼差しでそう問うてきた。


「あ・・・・・えっと・・・・空手、を、去年までやってて・・・・」


しまった、やりすぎた・・・・そう思って気まずくなった。


「もしかして有段者?」


「・・・・・・うん、一応・・・・黒帯で・・・・」


「「黒帯!?」」


「そうなんや・・・・・」


驚いた宍戸と向日とは違い、明らかに忍足が引いている。
そのことがとてもショックだった。


「お、俺は良いと思うぜ!!カッコイイじゃん」


向日が焦ったようにそう言った。


「・・・・・ありがと」


それきり俺たちの間に会話はなく、近くのファストフード店に入って勉強を始めても、日が暮れてお開きになっても気まずい雰囲気は消えず、黙り込んだままだった。



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+あとがき+

出てくる人数が多いと書き分けが難しい・・・・。
次は試験結果です。まぁ、わかりきってはいると思いますが。