第二十七話
「へ〜。ちゃんっていうんだ?カワイイ名前だね〜」 いつの間にそばに来ていたのか、ナンパ男がすぐ後ろにいて、反射的に身を翻した俺は思わず仁を盾にした。 「オイ・・・・・・」 仁が首だけこちらに向けて文句を言いかけたが、チッと舌打ちをして俺とナンパ男の間に立ちはだかった。 「またビックリさせちゃった?ごめんね。てか、高校生たちをあっさり追い払っちゃうなんてちゃん強いんだね」 さっさと恐れをなして逃げててくれれば楽だったのに・・・・・・そんなことを思いながら、チラと仁を見る。 仁はナンパ男のことを訝しそうに見ていて、うっとうしいと思っているのが明白だ。 「・・・・・・テメェ誰だ?に変なちょっかいかけたらぶっ殺すぞ」 心底面倒臭そうに仁はナンパ男に脅しを掛けた。 そうそう、その調子。と言わんばかりに、俺はコッソリと仁の背中を叩いた。 このまま仁がナンパ男を追い払ってくれたら万々歳、と思っていた。 しかし、現実はそう甘いものではなく、ナンパ男は目を丸くしたものの怯んだ素振りは無く、平然と仁の前でヘラヘラと笑っていた。 「俺は千石清純っていうんだ。よろしくねちゃん」 ナンパ男もとい千石は覗き込むように俺を見て言った。 「・・・・・・・・学校戻らなきゃ・・・・・」 俺はヨロシクするつもりがないという意味を込めて思い切り無視をした。 「じゃあ、仁、また連絡するから」 「え!?ちょ、ちゃん!?」 千石が喚く横を走り抜けて、俺は氷帝に向かった。 氷帝に着くと、跡部が校門の前で待ち伏せており、延々と文句を聞かされたが、俺は聞こえないフリをしてやり過ごした。 第二十六話← →第二十八話 戻る +あとがき+ 亜久津=下僕・・・・・・にするかどうかはまだ未定。 でも千石=下僕にはなりそうな予感(笑) |