第四十話



八月最初の土曜日、テニス部は休みだから家でダラダラしていたら、ジローがやって来た。


「休みなのにこんな時間に起きてるなんて珍しいな」


今の時刻は午前十一時。
いつものジローならきっと寝ているだろう。


ちゃん、今日ヒマ?」


家に上がるか促そうとしたら、ジローはいきなりそう聞いてきた。


「……宿題やる以外は何も予定無いけど」


「あのさ、今日の夜、花火大会あるの知ってる?」


「あぁ、うん」


毎年、八月の第一土曜日に催される花火大会。
俺は毎年見に行っているから、今年も誰か誘って行くつもりだった。


「向日たちと行こうって話になって、ちゃんも一緒にどう?」


「えー……行くのは良いけど、跡部も来るんだろ?」


夏休みに入ってから毎日顔を合わせているし、部活が無いときくらい跡部と関わり合いになりたくない。


「大丈夫。誘ってないし〜」


「この前の遊園地だって、アイツ誘ってないのに来たじゃねぇか」


「あれは滝が悪いんだよ。俺も向日も宍戸も跡部には一言も言ってないもん」


「……今日、忍足と滝は?来るのか?」


「忍足は向日が聞いてみるって言ってた。滝の方は宍戸が聞いてくれてるけど、まだ返事ないよ」


「ふーん……跡部が来ないんなら良いや。何時に待ち合わせ?」


「場所取りもしたいから一時くらいって向日が」


「じゃあ、もうすぐか……昼飯食ってく?」


「うん。おじゃましまーす」


ジローが嬉々として家に上がって来た。



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+あとがき+

夏と言えば花火大会!ということで、花火大会編。