第六十九話



パーティーも終盤となり、プレゼント交換が始まった。
ルールは簡単で、それぞれがくじを引き、そこに書かれている番号のプレゼントを受け取る、というもの。
万が一、自分が用意したものに当たってしまった場合は任意の相手と交換をしても良いということになっている。
果たしてくじの結果は……。


「あ、それ、俺が用意したやつだ」


俺がくじと引き換えに受け取ったプレゼントを見て、岳人が嬉しそうに笑った。
プレゼントの中身は白い羽根のペンダントだった。


「ちぇっ、これはのやつじゃねぇんだな」


岳人は自分が受け取ったプレゼントの箱に書かれている贈り主の名前を見てつぶやいた。
それを見て、俺は何となくホッとした。
別に俺が用意したものが誰に渡っても良いが、岳人が用意したプレゼントが俺の元へ来たことで、俺のプレゼントが岳人の手に渡るのは嫌だった。
意図せず交換したことにならなくて良かった、と思ってしまった。
岳人のことは嫌いではない。だけど、岳人と恋人になるつもりは毛頭もないので、期待させたくないのだ。


「あ、俺、ちゃんからのやつだ!」


プレゼントを受け取って戻ってきたジローが嬉しそうに言う。
それを見て、岳人が悔しそうな顔をしていた。


「くそっ」


小さく悪態をつく岳人に俺は気付かないふりをした。
そして、全員にプレゼントが行き渡るとパーティーはお開きとなった。



* * * * *



「じゃあ、また明日ね〜!!」


校門前でジローたちと別れ、バスに乗る。
明日”
明日は忍足と映画を観に行く約束の日だ。
そう考えただけで顔が熱くなり、胸がドキドキしてきた。


(ヤバい……もう緊張してきた)


明日のことを思うと、今にも爆発しそうなくらい心も頭も激しく乱れる。


(何を着ていったら良いんだろう……)


ふとそんな些細なことが頭をよぎった。



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+あとがき+

あれ?跡部の存在がない;